2010年12月12日日曜日
【読了】『ホームレス博士 -派遣村・ブラック企業化する大学院』 水月昭道


高学歴ワーキングプア」で話題になった著者の本。
著者の水月昭道氏のblogはコチラ
前著は未読だが、前著から引き続き、本著でも
アカデミックな世界を志した若者達がどれほど悲惨な
状況にあるかという事をこれでもかと記述している。

東大卒の博士でも就職率は40%程度、しかも
就職したとしても大学の講師として月給数万で
こき使われた挙句に契約を切られて路頭に迷う…
というケースが後を絶たないんだとか。

平成21年度における日本の大学院”博士”過程
修了者の”死亡・不詳の者”の割合=9.1%

という数字もエグいものがある。
「自分で選んだ道だろう」と突き放すには、
あまりに理不尽な構造的問題に愕然とする。
既得権益者(=正規の大学教員)が逃げ切りのために
若者を犠牲にして守りに入る、という図式は教育産業
でも同様ということか。

後半の「希望を捨て、しぶとく生きるには」という
章が殆ど精神論に終始しているあたりに、状況の
どうしようもなさがにじみ出ていて辛い。

著者の記述は一方的な立場からの側面を切り出した
ものなので反対意見もあるだろうけど、日本と海外の
「大学」のあり方の違いを考えさせられる。



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